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「春子」の健康状態

現在「春子」は61歳ですが、健康状態に関して大きな問題はありません。少し気になっているのは、高齢による右目の白内障です。
「春子」の老人性白内障は約6、7年前に発症し、2年前くらいから「春子」の右目は完全に真っ白になりました。左目しか見えないので「春子」は以前より慎重な性格になったようです。転ぶのが怖いのか、他の象と違い池での水遊びがあまり好きではないことも、白内障と関係していると考えられます。

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他に心配しているのは、仲間の象とのけんかによる鼻先のけがのことです。「春子」はこの動物園でとても長く生活していますので、自分が一番だと思っているようです。もう一頭の象はまだ若くて力が強く、どちらも負けずに度々けんかをします。こういうけんかは、野生動物の本能によるもので、あまり心配しなくても良いらしく、柵を高くして接触できないようにする方が逆に良くない場合もあるそうです。相手の存在を知っているのに何もできないことはストレスがたまり、健康に悪影響が出る可能性もあります。衝突によって大けがにならないように、動物園では低い柵を作って、飼育員がしっかりと様子を見守っています。

「春子」の毎日のお食事

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「春子」は毎日約80~90キロの餌を食べています。主な餌は草、乾草、じゃがいも、さつまいも、パンや果物です。1日分の餌を朝・昼・晩の3回分に分けて「春子」に食べさせています。最も量が多いのは晩で約60キロです。時々「春子」を運動させる目的で、飼育員は餌をいつもの場所ではなく別のところに置き、探させたりしているそうです。

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「春子」が好きな食べ物はバナナ・りんご・すいか・グレープフルーツなどの果物です。「春子」は年を取っているため、歯があまり強くなく、硬い食べ物が噛めません。今は右側の歯のみで食べ物を噛んでいます。飼育員は「春子」の健康状態に合うように種類と量を調整して食べ物を与えています。

飼育員のお話

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今回の取材では、天王寺動物園の西田俊広さんが「春子」について親切に話してくださいました。
西田さんは象の飼育を担当する前に動物病院で働いていたことがあり、他の動物の飼育も経験したことがあります。「春子」が西田さんのことを認めて近くで飼育ができるまで、担当してから2年もかかりました。今「春子」は西田さんの言うことをよく聞き、いつも西田さんを探しています。名前を呼ばれたら「春子」はすぐに西田さんのそばに歩いて行きます。

西田さんによると、象の飼育にはタイ式、インド式、スリランカ式などがありますが、タイ式は象の近くで直接指導するので一番良いと話しています。タイ式で使われる道具は他の方式より短いことからも、象との距離が近いことが分かります。近くで指導することによって、象とのコミュニケーションが簡単に取れ、効果的に指導することができます。このタイ式飼育はアジア象だけでなくアフリカ象にも効果的です。

 

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「春子」には健康で長生きをして、日本一の長寿な象になってもらいたいと西田さんは話しています。「春子」が長生きすれば、タイ人を含めた皆さんに、日本にいる象は良い暮らしをしているということが分かってもらえるでしょう。また「春子」に日本とタイの架け橋になってほしいそうです。「春子」を通してタイのことを知り、タイや環境についてもっと勉強しようと思うきっかけになったら嬉しいです。飼育員としてできることは、一生懸命に象を飼育することと、一人でも多くの人に動物や環境のことを伝えることです。タイの森を忠実に再現し、象や環境についての看板を作ったりすることによって、動物園に来た人に理解してもらい、動物と人間の共存や環境のことを考えるきっかけになれば良いと思います。

 

上記の文章は2009年に作成されました。2014年7月30日、春子は老衰のため66歳で死亡しました。
春子は、戦後間もなくタイから船でやってきて、復興する大阪の町とともに60余年を生き、動物園の人気者でした。多くの人達が別れを惜しみ、献花を行いました。