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困難を乗り越えて
  世界的な経済危機は、タイの輸出や投資に必然的に打撃を与え、2009年前期と対照的な経済状況を引き起こしました。タイ経済は、その影響から2009年度末までに回復するはずです。政府の積極的な景気刺激策は、意図した効果を発揮しています。国の主要輸出相手が復興しつつあり、経済は第4四半期までにプラス成長となる見込みです。

タイのGDP成長率

経済見直し*

2006

2007

2008

2009f

GDP(単位:十億米ドル)

206.9

245.8

273.4

258.4

GDP成長率(%)

5.2

4.9

2.6

(-3.5)-(3.0)

一人当たりGDP

(1年当たり/ドル換算)

3,190.8

3,723.6

4,081

3,845.5

出典:国家経済社会開発委員会事務局(2009年8月24日)

強力な基盤
  タイ経済は良好状態にあり、世界的経済危機と国内の政治問題の両衝撃に耐えています。1997年に起きた経済危機から教訓を得て、タイの経済はもっと強力になり浮上しました。今年の第2四半期末には国の経常収支が大幅な黒字を記録し、国際準備は10か月分の輸入に相当する健全な結果となりました。タイ通貨は変動幅が安定範囲内にあり、インフレは十分に抑えられました。これは、タイの経済が継続して健全かつ外的ショックに耐える備えがあることを証明しています。





タイは自由市場経済であり、膨張する中流階級を抱える強気な国内市場を賄い、様々なセクターの輸出用製品を生産する民間企業に基づきます。タイ経済の主要推進力と考えられているのが工業部門、農業部門、そして観光業と財務サービス産業を中心とする堅調なサービス部門です。過去数十年に渡り、タイは輸出主導型成長モデルに従い成功を収めています。米ドルで計算すると、1970年から2009年にかけてタイの輸出は平均して毎年20%の成長を遂げています。




 

項目

2006

2007

2008

2009

輸出(十億米ドル)

127.9

150.0

175.3

146.7

輸出成長率(%)

17.0

17.3

16.8

-16.3

輸入(十億米ドル)

126.9

138.5

175.1

132.7

輸入成長率(%)

7.9

9.1

26.4

-24.2

貿易収支(十億米ドル)

1.0

11.6

0.2

14.0

経常収支(十億米ドル)

2.3

14.0

-0.2

14.5

経常収支のGDP比率(%)

1.0

6.1

-0.1

5.6

出典:国家経済社会開発委員会事務局(2009年8月24日)

 

貿易拠点


  タイの経済は輸出量にのみ重点を置くのではなく、アジア地域の隣国を筆頭に世界各国との貿易円滑化という点において東南アジアの第一人者でもあります。タイはアセアン経済の要であり、5億7千万人の大市場へのアクセスを提供する戦略的位置にある恩恵を受けています。地理的な利点と主要市場との強固な関係が地域の持続可能な成長を促進させます。タイ製品の新しい成長市場への輸出は2008年に560億米ドルとなり23%の上昇を見せました。その内中国が150億米ドルで、前年度と比較して9%増加しました。インドへの輸出製品は28%に急増、そしてカンボジア、ラオス、ベトナムへの出荷も40%と急騰しました。

  タイは戦略的位置にあるが故に、海外旅行や海外貿易における地域の中心地であり、自動車産業を代表とする様々な産業の拠点でもあります。

  現在は東南アジア諸国連合(アセアン)の議長国であるため、アセアン加盟国とオーストラリアやインド、韓国等の他の経済国間の更なる協力体制の構築を支援しています。周辺諸国に限らず、タイは中国、インド、日本、オーストラリア、さらにニュージーランドと自由貿易協定を締結しています。

 

 

 

投資


  タイは、国内およびアジア全体におけるビジネス機会を求めている外国人投資家にとって理想的な投資先です。インフラ開発や再生可能エネルギー、農産業等の重点産業への投資が現在重視されています。サービス産業も現タイ政権が熱心に推進している分野の1つです。

  2009年度は「タイ投資年」と発表され、主要対象部門への投資は、タイ投資委員会(BOI)を通じて政府より最大限の恩恵が得られます。タイへの投資を急速に促進させ、タイが競争力を手に入れるため、税制上/非税制上の優遇措置が拡充されます。利回りが高くて迅速に実施可能なプロジェクトが優先されています。政府の優先事項は、あらゆるレベルの教育の質の向上や、医療制度の改善、公共交通機関または水管理システムの発展を目的とするプロジェクトです。

  国籍別に見ると、日本、EU、そしてアメリカが最大の外国人による投資源として挙げられます。タイは、過去数年で純海外直接投資額として毎年平均して100億米ドルを受領しています。

  加えて、友好的な投資環境と開かれた社会ということもあり、メディア会社、事業者、国際組織、非政府組織など、多方面より支社/支部の設立国として選ばれています。

前進


  1997年に金融危機が起きて以来、タイの金融システムは、12の国内銀行、外国銀行の多くの支店や駐在事務所をもって再建されました。国際通貨基金(IMF)は、2009年6月にタイの金融機関の強さと国のマクロ経済対策について記述した報告書を発行しました。タイ銀行の危機管理は強力であり、この景気低迷中においても銀行資産の質は衰えていません。

  中国やアメリカと同様に、アピシット・ウェーチャチーワ首相が率いるタイ政権は迅速な動きを見せ、世界的な経済危機の外的ショックに対処しています。政府は2つの大型景気刺激策を開始し、金融危機下でタイ社会の恵まれない人々の苦境を軽減する一方で、大規模な公共投資支出を開始しました。

 

「タイ:2012年さらなる強化に向けての投資」スキームに基づき実施準備の整った投資プロジェクト
(投資総額
450億米ドル)
単位:百万米ドル

カテゴリー

2009

2010

2011

2012

合計

1.水管理

-

1,638.34

2,042.18

2,200.41

5,880.93

2.物流

365.51

1,441.53

3,426.01

3,728.93

8,997.98

3.代替エネルギー

1,729.01

2,181.84

977.77

889.44

5,777.77

4.コミュニケーション

452.32

572.39

155.02

-

1,179.73

5.観光産業インフラ

0.85

42.09

75.96

38.32

157.21

6.人材育成―教育

-

1,333.78

1,229.04

1,257.30

3,820.12

7.人材育成―公衆保険

0.09

902.57

1065.87

906.38

2,874.88

8.人々の安全を支援するインフラ

0.94

195.09

46.71

38.05

280.78

9.科学技術のインフラ

-

77.10

99.39

151.16

327.64

10.天然資源と環境

-

41.44

46.74

33.75

121.94

11.観光産業発展

-

188.74

28.05

9.30

226.09

12.クリエイティブ経済

-

41.42

33.55

29.60

104.59

13.コミュニティ投資

424.10

475.28

308.42

281.66

1,489.50

合計

2,972.83

9,131.32

9,570.69

9,564.29

31,239.16

為替レート:USD1=THB34.19(タイ銀行/2009年9月8日現在)

  政府は、事業計画を容易にするために確実性、規則、そして統治を提供すると同時に、質の高い労働力のプールの拡大と新技術移転を使用、享受、吸収する能力の向上によりタイの競争力を高める重要な役割も認識しています。アピシット・ウェーチャチーワ首相は、投資家や経済界を安心させるため、さらなる説明責任と透明性の重要性を繰り返しています。今後は法律の再検討/改善が行われ、自由化と円滑化が保証されるようになります。首相は、長期的に見て財政金融政策の協調により安定した経済成長を促進し、経済成長率、価格安定、雇用のバランスを作り出すことを誓約しています。さらに、新政権は国の資本市場と財政システムを強化する意向であり、それにより将来起こりうる世界的な金融不安定への対処が可能になり、各個人と事業にも安定性をもって支援することができるようになります。

  タイの回復への道は、発展に向けて生じるあらゆる障害を乗り越える強さを表しています。自由市場経済や、政府からの強力な支援、確固たる工業部門、優れた金融機関、地域におけるパートナーシップの拡張により、タイは証明済みの弾力性と活力でさらなる前進と発展を成し遂げようと未来に目を向けています。