民主的リーダーシップへの新たな期待


 タイは、近代史においてグッド・ガバナンスと法治社会の構築がますます強化されており、概して平和でまとまりのある国家です。過去数年の政治的混乱が収まり、国は回復しつつ政治も再び軌道に乗っています。アピシット・ウェーチャチーワ政権は、正常、協調、そして秩序を回復させ、国を再び高度成長路線に引き戻すための政策を打ち出しています。

 タイは議会制民主主義の立憲君主国です。19世紀後半から20世紀初期の植民地時代に東南アジアの中で唯一独立を保つことができた国であり、何世紀にも渡る安定した君主制に恵まれています。この敬愛される王室こそがタイの文化財の中核であり、国民性の基軸であり、国民の安定性と誇りの源でもあるのです。

 

 1932年に平和的な変革を遂げて立憲君主国となった後、国王を国家元首とし、主権は国民に与えられました。国家管理は立憲君主国である英国の制度と非常に類似した議会制度の下で、首相と内閣により行われます。国王は政治に関与せず、憲法に基づきその役割を果たします。かんがいや農業、干ばつ/洪水緩和、植林、代替穀物、代替エネルギー、公衆衛生、遠隔教育、雇用促進等の分野における数多くの王室プロジェクトを成功させ、全国民の幸せのために生涯を捧げています。そのような役割を通じて、タイの君主制は、全国、特に地方に住む国民の生活向上に貢献し、政府による発展努力を補完しています。

 政治主導が頻繁に変化するのに関わらず、方針の方向性は極めて一貫しており、投資家や事業家に枠組みを提供します。誰が首相の立場に立とうとも、タイ政府は、財政金融に関して慎重でありながら国のインフラを整備し、隣国すべてとの友好関係、責任ある建設的な外交政策、開放的な市場経済、外国人投資家や観光客に対するホスピタリティ、健全なマクロ経済政策といった基本政策原則に常に尽力し、競争力を高め、持続可能な開発を実現しようと尽力し続けています。これらの政策は、国の政治的合意に限らず、国全体に対する政策の実施や法の施行を監視する公務の強みと継続によって支えられています。

 

アピシット政権
 何か月も続いた無秩序な抗議行動の終了後、下院は、2008年12月15日に第27代目首相として民主党党首であるアピシット・ウェーチャチーワ氏を選出しました。合計443名の議員から235票を獲得し、国家貢献党からの他の候補者が得た198票を上回る結果となりました。12月17日にプミポン国王陛下からの勅命を受けて新首相に正式に任命され、2008年12月22日に内閣が発足しました。

 アピシット政権は、タイの伝統的な社会の調和と国の結束を促進するため、民主主義発展の障害となり得る国内問題に取組み、国民和解を促進することに尽くしています。アピシット政権の優先事項の1つとして、民主主義、責任、そして透明性と共にタイの政治がすべての国民に確実に役立つよう努めることが挙げられます。良い統治、人権や法の支配、無差別待遇の尊重、反対論者との和解は、政府の主な指針の一部です。アピシット首相は、国のために献身し、首相に就任する以前はタイ最古の政党である民主党を代表する議員を16年間務めました。44歳という年齢で議会経験が豊富であり、タイのリーダーシップの新世代を代表します。国が面する課題に対応する上で創造的戦略の策定を支援する、非常に有能で経験が豊かな官僚や顧問を結集させました。2008年12月以来政府が効果的な政策を立案/実施するスピードは、国内外を問わず各方面から称賛されています。

 

経済的持続性のための政治展開


 経済発展の継続維持を可能にするには民主主義が経済発展を助長すべきことを政府は認識しています。自由への公約が、成長を必要とし、競争と起業家精神により促進され、賢明な公共部門の介入によりバランスが取れ、公平性を確保し、幸福から最も懸け離れたところにいる人々を支援するべき経済政策にまで結果的に及ぶのです。政府を発足後、2009年1月には直ちに内閣が緊急経済対策を提案し、議会で可決されました。本対策とは、33億米ドルを経済に注入し、最も必要としている人々を支援するために経済危機の影響を緩和すると同時に、かかる人々の手に直接資金を提供することにより国内消費を促進することを目的としています。受益者には、農民、低所得者、老人、就学年齢の子供を持つ親、失業者、ならびに解雇の恐れがある国民が含まれます。2009年6月の時点で、33億米ドルの約70~80%が既に支払われています。

 最初の緊急経済対策の成功に続き、規模が拡大された45億米ドル相当の第2緊急経済対策が2010~2012年度にかけての資金利用を前提に議会に提出されました。これは、タイの各年度のGDPの5%に相当する投資です。本第2計画は、主なインフラプロジェクトへの公共投資を呼び掛け、雇用と収入を生み出すだけではなく、タイの競争力を強化するよう考案されたものです。また、さらなる経済的成長の強力な基盤を築き、民間セクターの投資機会も与える内容です。「タイ:2012年さらなる強化に向けての投資」と呼ばれるプログラムの実施計画は、2009年9月4日に正式に着手されました。これらのプロジェクトの対象範囲は配水から輸送、コミュニケーション、エネルギー、物流、医療、教育、そしてサービス業ならびにクリエイティブ産業の発展にも及びます。これらの巨大プロジェクトにより、タイ人にも外国人にも大きな民間投資の機会が提供されます。

 

 

社会秩序

 政府による多数の経済イニシアチブに留まらず、政治改革や社会発展にも注目が注がれています。社会における様々な政治見解を認識し、政府は、民主的手段で憲法に基づく国民の権利と自由を尊厳し、これらの隔たりを埋めようと努力を講じています。これ故に、人々の正義と平等に基づき秩序を維持し、法を施行しつつ、全関係者の参加をもって政治改革のプロセスを推進しています。協力的努力により憲法の改正要求に向けて議会手続きを経て取り組まれていますが、これは、政治的反対勢力が参加し、憲法問題についての一般市民や専門家の意見が求められる取組みです。社会秩序の維持において、法は公正かつ非差別的に施行されます。特にタイ南部に関しては、発展と公正が紛争終結手段として強調されます。国民和解、また、前進する上で不可欠なのは正義と法の支配であると認識されています。


 将来に備えて


 アピシット政権の下、タイは困難かつ騒然とした年を乗り切り再び軌道に乗りつつあります。政府は、経済機会への平等なアクセスを向上させ、機会のある者とない者の格差を縮めるための改革に専心しています。これは、忍耐、常識、そして問題の平和的解決を求める伝統的なタイ人の特徴により導かれる議会手続きをもって実行されるのです。