タイのフルーツ・カービングの始まりは、スコータイ時代ともアユタヤ時代とも言われており、その起源は定かではありません。しかし、長い歴史をもった伝統芸だということは事実であり、それを実証してくれる言い伝えや昔話をご紹介しましょう。最初にご紹介する言い伝えは、スコータイ時代に書かれた「タムラップターオシーチュラーラック」という書物に著されています。カービングについて書かれた記述では最古のものと言われています。2つめにご紹介する昔話は、16世紀前後にチェンマイの僧侶が民話を本生譚風に書いたとされているものをラーマ2世がクローン形式の韻文に綴った「サン・トーン(金のホラ貝王子物語)」です。




タイではスコータイ王朝の時代から、12月の満月の日に灯籠を流すローイ・クラト-ンという伝統行事が行われています。当時、宮廷の女官たちは、灯籠の飾り付けに工夫をし、その美しさを競い合いました。ある年、プラルアン王の妻であるナーンノッパマート妃は、他のどの妃よりも、灯籠に美しく個性的な装飾をしたいと考えました。

そこで、ナーンノッパマート妃は今まで誰もしたことのなかった装飾を思いつきました。それは、色々な花びらを選んで色とりどりに重ね、牛車の外輪ほどの大きさの花の形をつくり、果物にはカービングをして様々な種類の鳥や孔雀を作り、花をついばんだり、蓮の花にとまったりする姿を色鮮やかに表現したのです。その斬新で他に類のない灯籠は、都中の注目の的となりました。



この言い伝えに出てくる「ローイ・クラトーン」とは、スコータイ時代の宮廷の女官ナン・ノッパッマッが始めたという水の精に感謝するお祭りです。雨期が終わり、川の水高が増すタイの陰暦11月または12月の満月の日に行われます。「クラトーン」とは、バナナや葉や蓮の花で作った灯籠を意味しています。これに花、ロウソク、線香を載せ、コインを入れて水に浮かべます(ローイ)。もとはバラモンの三大真神を迎える儀式に始まり、農民にとって恩恵深い水の精霊に感謝の意を捧げるお祭りでしたが、仏教式になってからは、それまでの罪や不幸を水に流そうとの意義が加えられました。現在ではタイ全土で行われていますが、発祥の地スコータイが有名で盛大に行われます。





むかしむかし、ヨサウィモン王とチャンテウィ妃に王子が誕生しました。しかし、王子がホラ貝であったため、妃はホラ貝とともに国から追放され、森の老夫婦の家に住むようになりました。ホラ貝の中の王子は実は金無垢で、妃により貝から出ることができました。このことを知った王の側室が王子の命を狙いました。
木の神に守られていた王子は難なく逃げ出すことができ、パントゥラットという鬼に育てられましたが、最後にはある国の王、サーモン王の末娘ロッチャナーと結婚しました。ヨサウィモン王は王子を追放したことを後悔し王子の国へ行き、妃とともに平民に扮し、王はサーモン王の国の門番に、妃は王宮内の厨房使用人となりました。
ある日、妃は自分と王子の物語をうりにカービングして料理にしました。それを食べた王子は、料理人が母親だと解り親子は再会する事ができました。王子はロッチャナー姫を連れて自分の国へ帰り末永く暮らしました。





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